ゼロエミッション型・炭素ニュートラル型物質社会への一部転換を目指し,天然に豊富かつ人為的にも大量生産可能なカルボン酸バイオマス資源の触媒的化学変換やCO2の光還元資源化に取り組んでいる.水を電子源・水素源とする新しい有機合成技術や人工光合成にも取り組んでいる.
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既存の触媒化学に基づく有用化学物質生産は,石油,天然ガス,石炭などの枯渇資源に長期にわたり依存してきた.一方でCO2は植物の光合成によって固定化され,バイオマス資源を創る.植物が生産した炭素資源のみを利用すれば,最終的に排出されるCO2は,植物によって再固定化できる限界量を超えにくい.理想的な持続可能物質社会(SDGs)を目指した場合このように,枯渇資源の代替として一方では再生可能資源が脚光を浴びている.バイオマス資源利用のみで世界中の人々の欲求や需要を満たすだけの物質をすぐに提供できるとは思われないが,CO2やバイオマス資源を原料とする化学工業への一部転換を世界中の産業界が大きく模索し始めているのも事実である.我々は長年に渡りルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、レニウム(Re)などの遷移金属錯体触媒を精密に分子設計し,これらを触媒として用いて枯渇資源由来もしくは再生可能資源由来のカルボン酸類を水素化還元し、高エネルギーアルコール類を合成することに成功してきた.それら還元に関わる最先端の分子技術を紹介したい.
化石燃料である石炭,石油,天然ガス等の燃焼に伴う熱エネルギーから電気エネルギーへの変換効率を飛躍的に向上させることは,省エネルギーに大きく貢献するとともに,二酸化炭素などによる地球温暖化問題の解決にも寄与する全地球的緊急課題である.この課題の解決のためには,燃焼そのものの効率を向上させるためのシステムの構築と燃焼によって大気中にそのまま排出されてきた廃熱、排ガスの未利用低位エネルギーから電気エネルギーを限界に近い効率で変換できるシステムの構築およびそのための要素技術の研究開発が必要である.そこで本研究グループでは,各種システムから排出される廃熱から直接電気エネルギーに変換が可能な半導体材料である熱電材料に注目して,材料の高性能化と高効率な熱電発電システムの構築を目指して以下の研究テーマを設定して研究を行っている。
SDGsへの実質的な貢献を考えている企業,ゴミ同然もしくは利用価値を見出せないカルボン酸類(木質バイオマス副生物など)を抱えている企業
東海国立大学機構 名古屋大学
教授
斎藤 進 氏
本セミナーでは、廃熱を直接電気エネルギーに変換できる熱電材料の中でも環境共生型シリサイド熱電材料に注目して、材料の製造方法,高性能化および熱電発電モジュールとその用途(発電システム)について解説します。各種システムで排出される廃熱の回収方法を検討している方々にクリーンな熱電発電を認識して頂きたい。
名古屋大学
准教授
伊藤 孝至 氏